タイラー・ロビンソン容疑者(22歳)の家族は、アメリカ共和党およびMAGA(「Make America Great Again」)運動の支持者である可能性が高いと報じられています。実際、容疑者の祖母デビー・ロビンソン(69歳)は事件後の取材で「うちの家族はトランプ支持者ばかりで、民主党員は一人もいない」と明言しています。公的記録によれば、タイラーの父マット(48歳)と母アンバー(44歳)は共に有権者登録上「共和党員」であることが確認されています。祖母は「息子(タイラーの父)はトランプ支持の共和党員だ」と述べており、一家は典型的な“MAGAファミリー”だと言えます。一方でタイラー本人は無党派(無所属)で、直近数回の一般選挙では投票しておらず非積極的な有権者でしたが、当局によればここ数年で急速に「以前より政治的になっていた」とされています。実際、ユタ州知事スペンサー・コックスは記者会見で、タイラーが事件前の家族との会話で「カークがユタに来る」と話題に出し、「家族で彼(チャーリー・カーク)の主張がいかに気に入らないかを語り合っていた」と明かしました。この発言からも、家族全体が伝統的な保守層ではあるものの、チャーリー・カーク氏のような極端な保守活動家の思想すべてを支持していたわけではないことがうかがえます。
父親の経歴と幼少期の銃教育
タイラーの父親マット・ロビンソンの職歴については、当初「ユタ州ワシントン郡保安官事務所の27年ベテラン職員(保安官代理)」との情報が一部で伝えられました。しかしこれは同姓同名の別人物との混同による誤報でした。地元ワシントン郡保安官事務所は公式声明で「逮捕された容疑者の父マット・ロビンソンは当局の現職・元職いずれの保安官代理とも無関係である」と明確に否定し、オンライン上で誤った情報が拡散していると注意喚起しています。実際のマット・ロビンソン氏は保安官ではなく、ユタ州ワシントン市でキッチンカウンターやキャビネットなど石材を扱う施工・建設ビジネスを経営している人物です。今回の事件では、公開された容疑者映像から息子を認識し、自首を促して当局に引き渡した「正義の父親」として称賛されています。マット氏は当初タイラーから告白を受けた際に警察への引き渡しを躊躇する息子を説得し、知人の牧師(連邦保安官局の任務も兼ねる人物)に仲介を依頼して、最終的に息子を逮捕に導いたと伝えられています。
一方、父親がタイラーに「幼少期から銃の使い方を教えた」という情報の信憑性についてですが、直接の証言や記録は見つかりませんでした。ただし前述の通り両親とも狩猟愛好家で狩猟免許を所持しており、家庭内で銃器に親しんできたことは確かなようです。事実、母アンバー・ロビンソンのFacebookには家族の日常写真が多く投稿されていましたが、その中にはタイラーや弟たちが銃を手にする姿も時折見られました。アンバーは自分の息子(タイラーの弟)の写真に「銃を持ってカウボーイを愛する賢い子」とコメントしており、家庭内で銃器の使用や射撃が奨励されていた様子がうかがえます。こうした光景は銃所持が比較的一般的なユタ州では特に珍しいものではありませんが、タイラーも幼い頃から父母を通じて狩猟や射撃に触れていた可能性は高いと言えます。
政治団体との関わり
タイラー・ロビンソン本人やその家族が、特定の政治団体(例えばトランプ支持系の団体や保守系の若者団体「Turning Point USA」など)と直接関わっていたという証拠は、報道ベースでは確認されていません。事件後、インターネット上では容疑者の政治的背景について様々な憶測が飛び交いましたが、その多くは誤情報だったことが判明しています。例えば「ロビンソン容疑者は民主社会主義者(DSA)の一員だ」という噂がありましたが、民主社会主義者協会(DSA)側は「タイラー・ロビンソンという名のメンバーは全米どこにも存在しない」と公式に否定しました。提示された写真や動画も別人を誤認したものだと判明しています。
同様に、ロビンソン一家が保守系の政治組織で活動していたとの情報も現時点では出てきていません。むしろタイラー本人は、保守派学生団体「Turning Point USA」の共同創設者でもある著名な右翼活動家チャーリー・カーク氏(今回の被害者)の思想に強い反発を抱いていました。ユタ州知事コックス氏によれば、タイラーはここ数年政治に関心を持つ中でカーク氏を「憎んでいる(full of hate)」と表現し、家族とカーク氏の訪問について議論した際も彼の主張に否定的な態度を示していたとのことです。このことから、少なくともタイラーや家族がTurning Point USAのような団体を支持・参加していた可能性は低く、どちらかといえば伝統的な共和党支持ではあっても過激な政治運動への直接的な関与はなかったと考えられます。
家族の公の政治的発言・記録
ロビンソン家による公の場での政治的スタンスの表明は多くないようですが、いくつかの事例が報じられています。まず、祖母デビー・ロビンソンはイギリス紙の取材に応じて家族の政治観を語り、「息子(マット)はトランプ支持の共和党員であり、家族に民主党支持者はいない」と公言しました。これは家族が公に示した政治的立場として直接的な証言と言えます。また母アンバー・ロビンソンのSNS(Facebook)投稿内容について、米ロイター通信は「長年の投稿のほとんどは家族に関するもので、露骨に政治的な内容は見当たらなかった」と伝えています。アンバーのFacebookには家族旅行(アラスカやカリブ海、ディズニーランド)や学校行事、ペットのウサギの写真などが多く、政治的主張より家庭生活に焦点を当てていたようです。
寄付記録の面でも、ロビンソン一家が特定の政治キャンペーンに金銭的寄付を行った確証は得られていません。事件直後には「タイラー・ロビンソンが2020年のトランプ大統領選に寄付していた」という主張がX(旧Twitter)などで拡散しました。しかし調査の結果、それは同姓同名の別人(ユタ州セントジョージ在住の起業家)の寄付記録を誤って結び付けたデマ情報であると判明しています。実際、連邦選挙委員会の記録によればトランプ陣営に寄付した「Tyler Robinson」は年齢や住所が容疑者と一致せず完全な別人でした。さらに同じ名前の人物が民主党系のActBlue経由で献金していた例も見つかりましたが、こちらもソルトレイクシティ在住の別人であり、容疑者とは無関係でした。総じて、タイラー・ロビンソン本人もその家族も、公的な記録に残る形で極端な政治活動や献金を行っていた形跡は今のところありません。
以上の調査から、タイラー・ロビンソンの家族は熱心な共和党支持者でありドナルド・トランプ氏を支持するMAGA寄りの背景を持つものの、特定の政治団体(保守・リベラル問わず)に所属して活動した証拠はなく、SNS上でも直接的な政治発信は控えていたことが分かります。父親が「元保安官」であったとの情報は誤りですが、家族ぐるみで狩猟や銃器に親しんできた点から保守的な文化的背景もうかがえます。今回の事件に関して家族は協力的な姿勢を示し、父親が息子の身柄引き渡しに貢献したことからも、自身の政治的信条にかかわらず法の支配を重んじる姿勢が見受けられます。
参考文献:
- Daily Beast紙:「Charlie Kirk Suspect’s Grandma Says Family Is All MAGA(チャーリー・カーク容疑者の祖母、『家族は全員MAGA』と語る)」thedailybeast.com
- Hindustan Times紙:「Tyler Robinson parents: All about father Matt Robinson and mother Amber Denise(タイラー・ロビンソンの両親:父マットと母アンバーについて判明していること)」hindustantimes.com
- ガーディアン紙:「timeline of Charlie Kirk suspect’s arrest(チャーリー・カーク容疑者逮捕までの経緯)」theguardian.com
- KATV/The National Desk記事:「What we know about Tyler Robinson…(タイラー・ロビンソンについて判明していること)」katv.com
- ロイター通信:「Who is Tyler Robinson, the suspect in Charlie Kirk’s murder?(チャーリー・カーク殺害容疑者タイラー・ロビンソンとは何者か)」reuters.com
- PolitiFactファクトチェック:「Tyler Robinson: What’s known…(タイラー・ロビンソンの政治的背景と銃弾メッセージについて判明している事実)」politifact.com
- Snopesファクトチェック:「Posts falsely claim Charlie Kirk shooting suspect was a Trump donor(チャーリー・カーク射殺犯がトランプ献金者との誤情報)」snopes.com