高齢者は「自分の年金や社会保障費を守るために自民党などに投票する」と槍玉に挙げられがちだが、若年層もまた「社会保険料を減らせ」「将来の負担を軽くせよ」と訴える政党を支持する点で、同じ利害計算の回路を辿っている。
若い有権者が歳月を経て高齢者へと移行すれば、いま糾弾している行動を自らも再演する可能性は高い。にもかかわらず、高齢世代だけを利己的と断じるのは、世代間で利害の衝突を「他者の欠点」として外部化する選択的共感の表れであり、論理的一貫性を欠く。
事実、人はライフステージによって利益を最大化しようとする構造を持っている。規範としては世代横断的な負担と受益の対称性を設計すべきであって、「どの世代がより利己的か」を競うことではない。事実と規範を恣意的に使い分ければ対立は固定化し、同じ分断が時間差で再生産されるだけだ。世代属性の優劣を語るより、「誰もが年齢とともに立場を変える」という前提に立ち、転じて平等な機会と持続可能な制度をどう確保するか。そこにこそ議論の焦点を据えるべきだと考える。