安価な労働力導入が排外主義を誘発するメカニズム

政策が人手不足と人件費抑制だけを目的に安価な外国人労働力を導入すると、賃金や労働条件、社会保障は最低水準に固定され、家族帯同や永住資格も制限されるため、移民は制度上「暫定的で代替可能な部品」に位置づけられる。

好況期には低賃金の便益が強調されるが、景気が後退して失業が増え、税収が減って福祉財源が逼迫すると、「なぜ彼らに税金を使うのか」という疑念が広がり、同情は容易に敵意へ転じる。

永住や社会保障を制限したままにすると、移民側は地域社会に根を張れず、住民側には「同じルールで生きていない」とする境界意識が強化される。

差別的な条件下での長時間労働と不安定な在留資格は経済的ストレスと社会的排除を蓄積させ、犯罪関与リスクを高め、その事例が排外主義の論拠として拡散される。

右派ポピュリズムは「安い労働力が賃金を奪い税を食い潰す」という物語で支持を動員し、中道政党も票を失わないために同調しやすく、排外的レトリックが公共圏の主流になると制度改正のハードルが上がり、改善が遅れる。

こうして人間をコスト要因として扱った初期設計が、経済変動を契機に排外主義へと雪崩れ込む土壌をつくる。権利制限で統合コストを後ろ倒しにした結果、社会的排除はむしろ拡大し貢献は制度外に埋没する。

負の連鎖を断つためには、入国時点で賃金フロアと労働条件を内国民と対称に設定し、到着直後に語学教育と住居支援を提供し、永住・市民権取得までの透明なルートを明示し、税収寄与や犯罪率など統合成果を定期的に公開することが不可欠だが、そのような議論を真正面から提起する政治家をメディアやSNSで目にする機会はほとんどない。