直線のトポロジー

振り向けば
影は昔のまま
時間はそこにない

小さな手が袖を引く
妻の声が背を押す
母の眼差しが胸に宿る

どれほど遠くへ来ても
彼らはそばにいる
一歩踏み出せば届くように


記憶も時間も直線ではない。
波のように、あるいは風のように、
記憶の岸辺に触れてはまた離れる。

遠ざかったはずのものが、ふいに目前に現れる。
手を伸ばせば、その温もりさえ感じるほどに。
何十年という時間は、実のところ厚みを持たない。
それはページではなく、一枚の折り紙のように。
折り畳めば、端と端はすぐに重なり、
昨日と十年前、今と幼年期が
等しい距離で重なる。

思い出すのに時間は要らない。
沈んでいるのではなく、
日常に溶け込んでいるからだ。
あの声、あの笑顔、あの温もりは、
失われたのではなく、
ここに現れるのを待っている。

私はここにいる。
彼らもまたここにいる。
思い出すたびに、
時間は折り畳まれ、距離は消える。

次の一歩を踏み出すとき、
ひとりではない。
子ども達の小さな手が、妻の囁きが、母の眼差しが
足元を支えている。
この折り目がどこへ続く道であろうとも。