最近日本は出生率が低下して、少子化になり非常に危険な状況になっている。というような声をよく聞きます。実際私もそう思いますし、現状から予測出来る未来の人口の年齢分布が危ういのは事実として間違いではないと思っています。
そしてこの議論の延長線上には日本が経済的に落ち込んできていることが原因であるかのように語られます。本当にそうでしょうか?日本で一番出生率が高い沖縄県は決して経済的に豊かな場所であるとは言えません。
下記はOECD加盟国の一人当たりの名目GDPのランキングになります。
| 順位 | 名称 | 単位: USドル |
| (世界) | ||
| 1位(1位) | ルクセンブルク | 136,701.40 |
| 2位(2位) | アイルランド | 100,129.45 |
| 3位(3位) | スイス | 92,248.64 |
| 4位(4位) | ノルウェー | 89,041.59 |
| 5位(6位) | アイスランド | 69,422.38 |
| 6位(7位) | アメリカ | 69,227.11 |
| 7位(9位) | デンマーク | 68,202.07 |
| 8位(10位) | オーストラリア | 63,464.11 |
| 9位(11位) | スウェーデン | 60,815.54 |
| 10位(12位) | オランダ | 57,996.91 |
| 11位(13位) | フィンランド | 53,774.20 |
| 12位(14位) | オーストリア | 53,332.27 |
| 13位(15位) | イスラエル | 52,151.93 |
| 14位(16位) | カナダ | 52,015.07 |
| 15位(17位) | ベルギー | 51,849.34 |
| 16位(18位) | ドイツ | 51,237.64 |
| 17位(21位) | ニュージーランド | 48,317.42 |
| 18位(22位) | イギリス | 47,328.78 |
| 19位(23位) | フランス | 45,187.77 |
| 20位(27位) | 日本 | 39,301.07 |
| 21位(28位) | イタリア | 35,472.80 |
| 22位(29位) | 韓国 | 35,003.82 |
| 23位(34位) | スペイン | 30,089.52 |
| 24位(35位) | スロベニア | 29,298.41 |
| 25位(38位) | エストニア | 27,962.28 |
| 26位(39位) | チェコ | 26,849.19 |
| 27位(41位) | ポルトガル | 24,296.07 |
| 28位(44位) | スロバキア | 21,053.44 |
| 29位(46位) | ギリシャ | 20,263.29 |
| 30位(49位) | ハンガリー | 18,732.38 |
| 31位(50位) | ポーランド | 17,945.75 |
| 32位(56位) | チリ | 16,065.04 |
| 33位(72位) | メキシコ | 10,061.53 |
| 34位(75位) | トルコ | 9,654.09 |
下記はOECD加盟国の出生率のランキングになります。
| 順位 | 名称 | 単位: 人 |
| (世界) | ||
| 1位(62位) | イスラエル | 2.9 |
| 2位(102位) | メキシコ | 2.079 |
| 3位(107位) | トルコ | 2.039 |
| 4位(120位) | フランス | 1.83 |
| 5位(129位) | アイスランド | 1.72 |
| 6位(130位) | チェコ | 1.71 |
| 7位(135位) | デンマーク | 1.67 |
| 8位(136位) | スウェーデン | 1.66 |
| 9位(137位) | アメリカ | 1.638 |
| 10位(138位) | アイルランド | 1.63 |
| 11位(140位) | チリ | 1.611 |
| 12位(141位) | ニュージーランド | 1.61 |
| 13位(142位) | スロベニア | 1.6 |
| 14位(145位) | オーストラリア | 1.581 |
| 15位(146位) | エストニア | 1.58 |
| 16位(148位) | スロバキア | 1.57 |
| 17位(149位) | イギリス | 1.56 |
| 17位(149位) | ハンガリー | 1.56 |
| 19位(152位) | オランダ | 1.55 |
| 19位(152位) | ベルギー | 1.55 |
| 21位(155位) | ドイツ | 1.53 |
| 22位(158位) | ノルウェー | 1.48 |
| 23位(162位) | スイス | 1.46 |
| 24位(164位) | オーストリア | 1.44 |
| 25位(167位) | カナダ | 1.4 |
| 25位(167位) | ポルトガル | 1.4 |
| 27位(170位) | ポーランド | 1.38 |
| 28位(171位) | フィンランド | 1.37 |
| 28位(171位) | ルクセンブルク | 1.37 |
| 30位(174位) | ギリシャ | 1.34 |
| 30位(174位) | 日本 | 1.34 |
| 32位(181位) | イタリア | 1.24 |
| 33位(182位) | スペイン | 1.23 |
| 34位(187位) | 韓国 | 0.837 |
一人当たり GDP 生産の下位の24位以下の国を見ると全ての国が日本よりも出生率が高いことが分かります。その中でも一番下の二カ国のメキシコとトルコに関しては出生率の上位ランキング2位と3位に入り込んでいます。このようなデータを見て考えれば経済的豊かさと出生率は相関関係はそこまで高くないことが分かります。
むしろそれよりも経済的に困難であることや、豊かすぎない状況が場合によっては出生率を上げることすらあるのではないかと思います。これは日本でも沖縄県が経済的には最も貧困な都道府県でありながら出生率は一番高いことからも現実的なデータだと言えます。
またこれも興味深い数値ですがGDPが1位(日本の3倍以上)のルクセンブルグの出生率は非常に低く日本と大差ありません。

これは日本の出生率の1947年から2017年までのグラフですが、バブルと呼ばれている1986年から1991年の出生率を見てみると1.5前後で決して高い数値ではありません。この数値であれば最終的に国家としては滅んでいく数値です。ここからもわかるように経済的に豊かであれば出生率が上がるということに関しては強い因果関係があるというわけではないようです。もちろん多少の影響はあるでしょうが、バブルの頃でこの出生率なのですからその影響力はかなり小さいものでしょう。
そもそも日本では多くの人が家庭を持つことや、子どもを持つということに対して憧れや、情熱を抱いているケースがそれほど高いとは思えません。恋愛的な観点から言えば昭和の時代、さらにもっと前の戦前の時代、戦後初期の時代(上記のグラフを見てもわかるように戦争が終わったのが1945年ですが、その後の1947年の出生率はとてつもない数字になっています、これは生きることへの渇望から生まれている数値であることと私は理解しています)もそうですが自由恋愛などがない場合において男女の関係が構築できる機会といえばお見合いやそこからの結婚などが要因になる事が多かったでしょう。そうすれば必然的に性的欲求から結婚を選択し子供が生まれるという結果にも繋がります。
しかし自由恋愛になれば結婚をしなくても男女の関係を構築し性的関係を持つことも不可能ではありません、もちろんそれ以外にも多種多様な趣味を持つことも出来ますし、生きがいを持つこともできます。選択肢が多くなるということで結果的に家庭への憧れや子供への情熱もなくなることは考えられます。
OECD 加盟国だけではなく世界全体で見た場合でも貧困の国ほど出生率が高いことに気づかされます。私自身が貧困であったのでそういった国の人たちの気持ちが理解できるのですが、家庭環境が複雑であったり、父親や母親が欠けていたりすることで、より家庭を持つことでの憧れや熱量が強くなるのです。しかし今の日本では多くの人が安定的な家庭に生まれ、自分が苦労しなくても家族の愛情にも恵まれるでしょう。そのような環境では家族を持つこと、子供を持つことやの憧れや熱量はそれほど高くならないことは容易に想像できます
さて話は戻りますが、多くの日本人が出生率が低下することによって「学費を無料にしよう」「子供にお金をかけてほしい」「児童手当を増やすべき」色々な議論が起きています、もちろんこのようなことは大変意義のあることだと思いますが、あくまでもこれらの本来の目的は子供達に機会の公平性を与えることだと思います。
そしてその結果、生まれもった才能をより伸ばすことができ、それが子供の成長を効率的に伸ばすようになり結果的に、日本経済にとってもそれがプラスに働くという側面や意義があります。
決してこれらの対策は劇的に出生率を回復させる為の対策ではありません。人は豊かになれば豊かになったぶんだけ文句を言いますし、新しい何かを手に入れようとします。
日本が経済的に豊かになり新しい何かを手に入れようとした時、その隙間に「家族を持つこと」や「子供を持つこと」がくると言い切れるでしょうか?
多くの人にとって、その隙間にくるのは生活水準を上げる事が一番にくるでしょう。そしてその経済的な豊かさの要因が国債などで生み出されたものであるとすれば、それは将来にとって悲劇的なことです。(子供の教育費などの無償化は必須。そうではなく経済支援での過剰な国債の発行等を批判しています)
そもそも経済的に豊かになれば子供が増えるなどという議論は現実的ではなく、「子供を残す」「子孫を残す」という行為自体が生への執着から生まれるもので、その結果子供が生まれ人類が繁栄してきたという生命の本質であり、現実的な議論の前提です。現代はその逆であり、機械的に生きる結果で生命の本質から遠ざかっているようにさえ感じます。
また経済的に豊かになれば子供が増えるという議論そのものも「子孫を残す」事が趣味や娯楽の延長線上にあるかのような前提を構築しており不安を覚えます。
本当に子供を必要とするのであれば、日本人全体が家族への価値観を改め、本当に豊かなこととは一体何であるかということを改めて自分自身に問い直す必要があると思います。
私は豊かさを考えた時に、子供を持つということ自体が人間にとっての一番豊かである事の証明だと思います。
追記:経済的に豊かである事は良いことだとは思いますし、それを否定しているわけではありませんのでお間違いなく、、、