車輪の火花は無愛の証明 2025年7月11日2025年7月11日 by NAOFUMI 幼いころ、ホームの柵は遠い惑星の輪郭で、私はそこへ跳び移る方法を教えられなかった。鉄の胎動を孕む列車が闇を切り裂くたび、胸裏の「無価値」は車輪の火花となって散り、一瞬だけ信号機の緑が頬を撫でる。承認の灯が差す瞬間、死への … 続きを読む
夢の中の話 2025年12月25日2025年5月4日 by NAOFUMI 父が遺したはずの金が置かれた机を夢の中で見た。蛍光灯の白だけが静止した空間を均質に照らし、封筒の紙肌が無音で呼吸する。兄が札束を指で数え、二、三枚を自分の束へ滑らせた。埃が落ちるような動きだった。紙はただの重さでしかなく … 続きを読む
窓の無いワルツ 2025年6月27日2025年4月24日 by NAOFUMI 布団は敷かれたままで、畳には長く沈んだ跡が残っている。部屋の隅には、茶色い置き型冷房があった。昭和の頃のもので、全然涼しくならない。カーテンはいつも閉じていて、窓はあるのに、そこから外を見るという感覚が次第に薄れていった … 続きを読む
直線のトポロジー 2025年4月24日2025年3月17日 by NAOFUMI 振り向けば影は昔のまま時間はそこにない 小さな手が袖を引く妻の声が背を押す母の眼差しが胸に宿る どれほど遠くへ来ても彼らはそばにいる一歩踏み出せば届くように 記憶も時間も直線ではない。波のように、あるいは風のように、記憶 … 続きを読む